LiD(聞き取り困難症)/APD(聴覚情報処理外来)について
①聞き取り困難症(Listening difficulties:LiD)/聴覚情報処理障害(Auditory Processing Disorder: APD)は,聴力の低下はみられないが,雑音下での聴取など聴取に負荷のかかる状況下で聴取の困難さを示す症状です。以下のような症状がある方は一度専門機関へご相談ください。
LiD/APDの特徴的な症状は下記の通りです。
- 聞き返しや聞き誤りが多い
- 雑音など聴取環境が悪い状況下での聞き取りが難しい
- 口頭で言われたことは忘れてしまったり、理解しにくい
- 早口や小さな声などは聞き取りにくい
- 長い話になると注意して聞き続けるのが難しい
- 視覚情報に比べて聴覚情報の聴取や理解が困難である
※「APDの理解と支援」小渕千絵、原島恒夫より引用
②LiD/APD症状の要因としては,聴覚野に限局した器質的障害のある方はほとんどみられず,発達障害の診断に該当する場合や,診断には該当しないが注意や記憶などの認知的な問題,心理的な問題などが考えられています
大人のLiD/APD背景要因
評価・診断
当院では大阪公立大学付属病院耳鼻科と連携し、LiD/APDの検査および支援にあたっています。
評価・診断においては
- ①LiD/APD症状の聴覚特性を把握するための検査だけでなく,
- ②背景の要因を検討するための認知や心理的な検査も含めて行うことが必要であるとされています。そのため当院と大阪公立大学付属病院耳鼻咽喉科とで検査や評価を分けています。
●聴覚特性を把握するための評価
→ 大阪公立大学付属病院耳鼻咽喉科で実施
●背景要因を検討するための評価
→ 当院で実施
当院ではLiD/APDの診断に必要な以下の検査を行い、その結果を公立大学付属病院耳鼻科と共有して診断にあたります。
- ①発達障害傾向の把握・問診による発達歴の確認・発達障害のスクリーニング質問紙
- ②認知能力を掘り下げて分析するための評価・問診による日常生活での問題の抽出 ・認知検査(注意機能・ワーキングメモリー評価など)
- ③精神・心理的状況の把握・問診による関連情報の収集(学校環境,家庭環境,職場環境などでの問題の抽出)・人格検査などによる評価
診断・評価の申し込み
- ①大阪公立大学医学部附属病院耳鼻咽喉科に受診され当院への紹介状をお持ちの方は随時電話で診察・検査予約を受付けしておりますので、クリニックまでお電話ください。
- ②LiD/APD疑いで発達障害の傾向や心理的な問題よりも聴覚の問題が大きいと感じている方はまず大阪公立大学付属病院耳鼻科へ受診してください。
- ③LiD/APD疑いで、発達障害の傾向や心理的な要因があると感じておられる方はまず当院へ診察のご予約ください。(診療の予約日は毎月月初の火曜日になります)
診察・検査の結果、聴覚特性の検査が必要と判断した場合は大阪公立大学医学部附属病院耳鼻咽喉科へ紹介させていただきます。